なにわの伝統野菜 直根類



● 田辺大根 たなべだいこん

田辺大根

来歴と特性


 大阪市東成郡田辺地区(現大阪市東住吉区)の特産である白首の大根で、天保7年(1836年)の「名物名産略記」に記載がある。本品種のルーツは白あがり京大根とねずみ大根との交雑後代が当地区に土着したのではないかとされている。明治時代の田辺大根は短根で縦横がほぼ同長のものであったが、次第に長型に淘汰改良された。根部は白色の円筒形で、末端が少し膨大し、丸みを帯び、長さ20cm、太さ9cmほどで、葉には毛じがない。肉質は緻密、柔軟で甘みに富み主に煮食用で甘漬けにも適する。昭和25年頃に発生したウイルス病のため、新しい品種にとって代わってしまったが、昭和62年の農産物品評会で本品種を発見し、出品者の大阪市住吉区の岡田清氏から種子を譲り受け、当所で維持保存している。また、田辺大根から派生したやや長めの「横門大根」は大正の頃に、東住吉区の法楽寺の西横門の前の畑で栽培されていたことから名付けられたとの説がある。

料理例

 ふろふき、漬物、なます

現在の取組み

 大阪市、河南町、和泉市の農家および幼稚園、小学校などの菜園で栽培が始まっている。大阪市東住吉区の商店街では田辺大根の煮物の振るまいや、府民から募集した愛称「田辺の大ちゃん」の発表および同キーホルダー作製などイベントに活躍。


● 守口大根 もりぐちだいこん

守口大根

来歴と特性 


 江戸時代の「毛吹草(けふきぐさ)」に「摂津天満宮前大根」、「摂陽群談」に「同所天神社の辺より、北の田圃の間に、種を求めて作之、遠く去て種を変ず、因って近里の外に不出、凡て宮前の号あり、形小して長し、多は河内国守口村に求て、酒糟に点じて、桶に移し蓋を覆い守口漬香物と銘して、諸国に送る」とある。江戸時代は「宮前細(大根)」がまた、明治になってからは「美濃大根」が守口に送られ、守口漬にされたことから、この守口漬に用いられる大根のことを守口大根と総称するようになったものと考えられる。そして、守口漬は味醂粕を用いた独特の製法の糟漬けで、徳永家文書によれば「その風味は格別と太閤が守口本陣吉田八郎兵衛宅へ止宿したとき食膳に供し大いに賞賛して“守口漬”と名付けたと」伝えられ、時に天正13年(1585年)であったという。もともと、約1.5cmの太さで、長さは70〜80cm程であったが、その後改良され現在のように1.3mと長くなった。明治の終わり頃までは守口で栽培されていたが、都市化の影響で今は全くその栽培がない。

料理例

 糟漬

現在の取組み

 愛知県扶桑町山名地区および岐阜市島地区、則武地区の木曽川沿いで、「美濃乾大根」の改良種が用いられ、糟漬の原菜としての契約栽培が行われている。











●大阪四十日大根 おおさかしじゅうにちだいこん

大阪四十日大根 

来歴と特性

 来歴は明確ではないが、「成形図説」の「景山」、「清水」、台湾の「材仔」あるいは豊中市庄本町付近で栽培されていた「倉()橋大根」のいずれかが前身とされ、大阪に導入、土着し選抜、淘汰の結果、成立したのではないかと考えられている。葉はやや長形の丸葉で緑色、中肋と葉柄は白い。根身は純白で直径4〜5cmに肥大するが生長につれて抽根し、湾曲する性質がある。類似品種として「本庄返り」と「難波返り」があり、前者は子葉が大きく胚軸が純白でよく伸びることからかいわれだいこん用として砂地地帯でハウス栽培されている。

料理例 

 煮もの、浅漬

現在の取組み

 正月の雑煮用大根としてその生産があるとともに、かいわれだいこんの生産に用いられている。












● 天王寺蕪 てんのうじかぶ(かぶら)


天王寺蕪

来歴と特性

 大阪市天王寺付近発祥の伝統品種である。切れ葉と丸葉のタイプがあり、根身は純白で扁平である。地上部に浮き上がるため、「天王寺浮き蕪」ともよばれる。「摂陽群談」などにも「形平均(ひらたく)大にして草葉少し味甚甘くして如も軽和(かろくやわらか)なり。乾蕪として諸国に送る。西成郡木津、今宮の辺住吉郡に懸て作得たりと云えども皆天王寺蕪の名を以て市店に所商之也」との記録があり、そのほか「毛吹草」、「和漢三才図会」、「成形図説」にも同様の記載がある。「名物や蕪の中の天王寺」と蕪村に詠まれているほどである。天王寺付近で栽培された蕪は今宮、木津、さらに住吉の依羅地区から大和川沿いに栽培がその後広がっていったが、大正に入り、とがり蕪の出現によりその生産は減少していった。

料理例

 かぶら蒸、なます、ふろふき、浅漬、糟漬

現在の取組み

 河南町、千早赤阪村、堺市、大阪市で試験栽培するとともに、一部朝市で販売される。「天王寺蕪浅漬」が大阪府Eマーク認証となる。キーホルダー「天王寺かぶちゃん」発表。


● 金時人参 きんときにんじん

金時人参


来歴と特性

 
 和漢三才図会」に「赤黄の二色あり、摂州生玉辺にも亦赤色のものを出す」、また、その後の「摂陽群談」には「長町の、同所東西の田園に作り市店に運送る、茎葉青にして根大に生て色濃赤く、味甘く匂馨く世多求之」、また、「摂津名所図会大成」に「名産胡蘿蔔、木津村より出るもの色うるわしく味い美なり、隣村難波、今宮、勝間にも多く出せり、皆これを類する。」とあるように難波、木津、今宮方面の特産であったことが窺われる。また、一名「大阪人参」とも呼ばれたことがある。根身は長さ約30cmで色はその名の示すとおり深紅色を呈し濃厚で葉は緑でその特性の違いで、金時、ドス金、ドスと早、中、晩生種があるが早生種は全く失われてしまった。肉質は柔軟で甘味香気が強く、正月用に欠かせない品種である。

料理例

  なます、煮もの


現在の取組み

 最近は食生活や嗜好の変化および需要の周年化から、欧州系の人参に重点がおかれているが、お正月料理用になくてはならない品種であり、泉州地域に約2haの栽培がある。











毛馬胡瓜
けまきゅうり
勝間南瓜
こつまなんきん
石川早生
いしかわわせ
服部越瓜
はっとりしろうり
水茄子
みずなす 
吹田慈姑
すいたくわい
玉造黒門越瓜
たまつくりくろもんしろうり
鳥飼茄子
とりかいなす
独活
うど
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