|
(根拠:環境基本法 第16条第1項)
| 環境基準は、「人の健康を保護し、生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」として、 政府が大気汚染、水質汚濁、土壌汚染及び騒音の4種類について定めるものです。これは一般住民の健康影響を招くことなく、生活環境を損なうことのないような汚染レベルを示すとともに、国、地方公共団体等は環境基準を達成するため、各施策(水質汚濁に対しては、工場規制、生活排水対策、下水道他)にわたって総合的、計画的に実施する共通の努力目標とするものです。 公共用水域の水質汚濁に係る環境基準は、健康項目及び生活環境項目の2つの環境基準を設定していますが、 この基準は1970年に設定後、生産・使用されている化学物質などから科学的知見等により数次にわたり項目の追加や見直しが行われています。 |
| 環境基準項目設定の経緯 |
| ・1970年(昭和45. 4.21): 環境基準が閣議決定 (健康項目:シアン、水銀、有機りん、カドミウム、鉛、六価クロム、砒素) ・1970年(昭和45. 5.29): メチル水銀をアルキル水銀、総水銀に見直し ・1971年(昭和46.12.28): 「水質汚濁に係る環境基準について」環境庁告示 ・1974年(昭和49. 9.30): 総水銀に係る基準値を改定 ・1975年(昭和50. 2. 3): PCBを追加 ・1982年(昭和57.12.25): 湖沼の窒素、りんを追加 ・1989年(平成元. 4. 3): トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンを水質環境目標として設定 ・1993年(平成 5. 3. 8): ジクロロメタン等15項目(揮発性有機化合物、農薬類)を追加 有機りん(パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン及びEPN)を削除、鉛及び砒素の 基準値を改定 ・1993年(平成 5. 8.27): 海域の窒素、りんを追加 ・1997年(平成 9. 3.13): 地下水の水質汚濁に係る環境基準を設定 ・1999年(平成11. 2. 2): ふっ素、ほう素、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の3項目を追加 ・2003年(平成15.11. 5): 水生生物の保全に係る生活環境基準として全亜鉛を追加 ・2009年(平成21.11. 30): 1,1-ジクロロエチレンの環境基準値を改定 1,4-ジオキサンを追加 地下水の水質汚濁に係る環境基準において、塩化ビニルモノマーを追加 地下水の水質汚濁に係る環境基準において、シス-1,2-ジクロロエチレンを、 1,2-ジクロロエチレン(シス体及びトランス体の和)に改定 |
■ 健康項目
健康項目は、人の健康被害を起こすおそれのある有害物質であるという点から、生活環境項目とは異なり、全国すべての公共用水域及び地下水について一律に適用されます。
達成期間は有害性を考慮し、設定後直ちに達成することとなっています。
全シアンと総水銀以外は年間平均値で評価しますが、全シアンは急性毒性があることから最高値で、また総水銀は基準超過検体数が37%を超えるか否かで評価します。
| 項目名 | 内容等 |
| カドミウム (Cd) |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 呼吸器系や消化器系に作用する急性毒性と、長期間に蓄積する慢性 中毒を引き起こします。イタイイタイ病は、慢性カドミウム中毒による腎 機能障害、重症の骨軟化症とされています。 【用途等】 自然界に亜鉛ととも広く分布しており、地表水、地下水にごく微量存在 しているといわれます。重金属で、充電式電池、塩化ビニル安定剤、 塗料、メッキ工業など広い用途で使用されています。 【分析方法】 フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、ICP発光分析法、ICP-MS |
| 全シアン (CN) |
【環境基準値】 検出されないこと 【毒性】 生体への蓄積性はなく、毒性の弱いチオシアン化合物となり尿とともに 排泄されます。急性中毒を引き起こします。青酸カリ(シアン化カリウ ム)に代表されるように、シアン化合物は一般に毒性が強く、微量でも 水生生物や下水浄化微生物に障害を与えます。シアンに汚染された 水を飲用すると急速に粘膜から吸収され、血液中で呼吸酵素を阻害 し、頭痛、吐き気などを引き起こします。 【用途等】 メッキ工業、化学工業などに使用されています。水中では、シアンイオ ン、シアン化合物として存在します。全シアンは、試料水中に含まれる シアンの総量を測定します。 【分析方法】 ピリジン-ピラゾロン吸光光度法、4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法 |
| 鉛 (Pb) |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 食欲不振、頭痛、貧血、全身倦怠などがあります。 【用途等】 重金属で、鉛精錬、鉛蓄電池、鉛管、ガソリン添加剤、農薬など広く 使用されています。 【分析方法】 フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、ICP発光分析法、ICP-MS |
| 六価クロム (Cr6+) |
【環境基準値】 0.05mg/L以下 【毒性】 水中のクロムは通常三価または六価の形で存在します。六価のもの は毒性が強く、その毒性は主にその強い酸化力によるもので、皮膚 潰瘍、胃・肺ガン、鼻中隔湾曲などを引き起こします。 【用途等】 重金属。化学工業薬品・クロムメッキなどに使用されています。 【分析方法】 ジフェニルカルバジド吸光光度法、フレーム、電気加熱原子吸光法、ICP発光分析法、ICP-MS |
| 砒素 (As) |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。体重減少、知覚傷 害、肝臓障害、皮膚沈着、皮膚がんなどを発症します。 【用途等】 非金属元素。鉱山、製薬、半導体工業、塗料などに使用されています。 【分析方法】 水素化物発生原子吸光法、水素化物発生ICP発光分析法 |
| 総水銀 (Hg) |
【環境基準値】 0.0005mg/L以下 【毒性】 生体にきわめて有害な物質で、急性的にも慢性的にも中毒が起こり ます。 【用途等】 重金属。化学工業、電池、電解ソーダ、蛍光灯、医薬用や実験用試薬 などに使用されています。 環境中で有機水銀に転換する可能性があります。 【分析方法】 還元気化原子吸光法 |
| アルキル水銀 |
【環境基準値】 検出されないこと 【毒性】 生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こします。消化管あるいは 肺や皮膚から容易に吸収され、特に脳に蓄積して知覚障害、運動失 調、言語障害などの中枢神経障害−いわゆる水俣病を引き起こしま す。またアルキル水銀は生物濃縮が起こることで、水中の濃度はわ ずかであっても魚介類の中に高濃度に蓄積されて毒性を発揮する可 能性があります。 【用途等】 アルキル水銀とはアルキル基と水銀が結び付いた有機水銀化合物の 総称です。かつては、有機水銀系農薬、有機水銀製剤がありました。 【分析方法】 GC-ECD |
| PCB (ポリ塩化ビフェニル) ![]() |
【環境基準値】 検出されないこと 【毒性】 生体への蓄積性があり、慢性中毒を引き起こす。肝機能障害、生体黒 色色素沈着、塩素座蒼などを発症します。油症事件の原因物質とされ ています。 【用途等】 工業用資材として優れた有機塩素化合物で、かつては電気絶縁油、 熱媒体、ノーカーボン複写紙などに使用されましたが、、現在は製造 されていません。PCBは水、土壌及び大気中で光や微生物等によっ て分解されないため、環境や生態系を汚染し、さらに食物連鎖の中 で生物濃縮され、人体への蓄積も起こってきています。 【分析方法】 GC-ECD |
| ジクロロメタン |
【環境基準値】 0.02r/L以下 【毒性】 生体への蓄積性はありませんが、急性中毒症状は、麻酔作用(めま い、嘔吐、四肢の知覚異常、昏睡)があります。発ガン性の疑われる 物質です。 【用途等】 低分子有機塩素化合物。無色透明の水より重く、揮発性の液体で芳 香臭があります。プリント基板の洗浄、金属の脱脂洗浄、ウレタン発 泡助剤、エアロゾルの噴射剤、冷媒、ラッカーなどに使用されていま す。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-FID |
四塩化炭素![]() |
【環境基準値】 0.002mg/L以下 【毒性】 毒性(頭痛、麻酔作用、嘔吐、肝・腎障害等)が強く、オゾン層破壊の 原因物質の一つでもあります。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で無色透明の水に難溶性の液体です。機械器 具の洗剤、殺虫剤、ドライクリーニングの洗剤、フロンガスの製造、その 他の化学工業原料などに使用されています。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 ヘッドスペースGC-ECD、ヘキサン抽出GC-ECD |
1,2-ジクロロエタン![]() |
【環境基準値】 0.004mg/L以下 【毒性】 中毒症状は四塩化炭素と類似のもので、発ガン性も疑われています。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で無色透明の油状の液体で揮発性がありま す。塩化ビニルモノマーの原料、エチレンジアミン、合成樹脂の原料、 フィルム洗浄剤、有機溶剤、殺虫剤などに使用されています。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 パージ・トラップGC-FID |
1,1-ジクロロエチレン![]() |
【環境基準値】 0.1mg/L以下 【毒性】 麻酔作用、肝臓や腎臓への障害、動物実験では発ガン性を認めた報 告もあります。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で無色ないし淡黄色で芳香臭の重い液体で揮 発性、酸素の存在下で過酸化物になり爆発性を持ちます。水に難溶性 、有機溶剤に可溶で、ポリ塩化ビニリデンの原料などに使用されていま す。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-FID |
| 1,2-ジクロロエチレン シス体 ![]() トランス体 ![]() |
【環境基準値】 0.04mg/L以下 (公共用水域、シス体) 0.04mg/L以下 (地下水、シス体及びトランス体の和) 【毒性】 嘔吐、中枢神経系の抑制、眼、皮膚への刺激などが報告されています。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で無色透明、芳香性、揮発性の液体、水に難溶 です。溶剤、染料抽出剤、香水、ラッカー、熱可塑性樹脂の製造、有機 合成原料などに使用されていました。 【分析方法】 (シス体)パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-FID (トランス体)パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD |
1,1,1-トリクロロエタン![]() |
【環境基準値】 1mg/L以下 【毒性】 オゾン層破壊の原因物質の一つです。毒性は低く、中毒症状は軽度の 麻酔作用や目の刺激です。 【用途等】 低分子有機塩素化合物、揮発性の液体です。金属の洗浄、ドライクリ ーニング用洗剤などに使用されています。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 ヘッドスペースGC-ECD、ヘキサン抽出GC-ECD |
1,1,2-トリクロロエタン![]() |
【環境基準値】 0.006mg/L以下 【毒性】 中枢神経抑制と肝臓障害で、肺からの吸収や経皮吸収にも注意を要す るとされ、動物実験では発ガン性を疑わせるデータもあります。 【用途等】 低分子有機塩素化合物。無色透明、揮発性で水に溶けない液体です。 有機溶剤にはよく溶け、接着剤、溶剤などに使用されています。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 ヘッドスペースGC-ECD、ヘキサン抽出GC-ECD |
トリクロロエチレン![]() |
【環境基準値】 0.03mg/L以下 【毒性】 急性毒性として目、鼻、のどの刺激や頭痛、麻酔作用などがあり、慢性 的には肝臓や腎臓への障害のほか、発ガン性も疑われています。 【用途等】 低分子有機塩素化合物、揮発性で水に難溶性の液体です。機械金属 部品や電子部品の脱脂やドライクリーニング用の洗剤などに使用されて います。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 ヘッドスペースGC-ECD、ヘキサン抽出GC-ECD |
テトラクロロエチレン![]() |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 性状、毒性などはトリクロロエチレンとほぼ同様ですが、トリクロロエチレ ンよりも代謝されにくく蓄積されやすいといわれています。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で揮発性、水に難溶性の液体です。機械金属 部品や電子部品の脱脂やドライクリーニング用の洗剤などに使用されて います。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD、 ヘッドスペースGC-ECD、ヘキサン抽出GC-ECD |
1,3-ジクロロプロペン![]() |
【環境基準値】 0.002mg/L以下 【毒性】 強い刺激作用があり、動物実験では肝・腎障害のほか、発ガン性の可 能性も認められています。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で淡黄色で水より重く、揮発性の液体です。土壌 薫蒸剤、殺線虫剤など農薬に使用されています。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-ECD |
チウラム![]() |
【環境基準値】 0.006mg/L以下 【毒性】 咽頭痛、咳、痰、皮膚の発疹・痛痒感、結膜炎、腎障害などの急性中毒 を引き起こします。 【用途等】 白色の結晶で水に難溶で、クロロホルムに可溶です。種子、球根、芝 などの殺菌剤、土壌薫蒸剤として、ゴルフ場や農地で使用されます。 【分析方法】 高速液体クロマトグラフ法 |
シマジン![]() |
【環境基準値】 0.003mg/L以下 【毒性】 急性中毒を引き起こします。 【用途等】 白色の結晶で水、有機溶剤に難溶の農薬です。畑地やゴルフ場で除 草剤として広く使用されました。 【分析方法】 GC-MS、GC-FTD、GC-ECD(各々、溶媒抽出又は固相抽出) |
チオベンカルブ![]() |
【環境基準値】 0.02mg/L以下 【毒性】 急性毒性を引き起こします。 【用途等】 無色か淡黄色の液体で、水に難溶、有機溶剤に可溶の農薬です。チオ カーバメイト系除草剤で、水田の初期除草剤や、野菜、豆類などに使用 されます。 【分析方法】 GC-MS、GC-FTD、GC-ECD(各々、溶媒抽出又は固相抽出) |
ベンゼン![]() |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 発がん性、麻酔作用をもち、さらに反復暴露により骨髄の造血機能障害 を引き起こします。 【用途等】 無色の液体で、沸点80℃の揮発性、可燃性、水より軽く、水に難溶、 有機溶剤に可溶です。染料、溶剤、合成ゴム、合成皮革、合成顔料、 化学工業原料などに使用されます。ガソリンに1%前後含まれます。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS、ヘッドスペースGC-MS、パージ・トラップGC-FID |
| セレン (Se) |
【環境基準値】 0.01mg/L以下 【毒性】 発がん性がある。慢性中毒症状としては貧血、皮膚・胃腸障害、肝硬変 を引き起こします。 【用途等】 硫黄に類似した固体元素で、半導体、殺虫剤、触媒、複写機感光体、 整流器、太陽電池、赤色顔料、ガラス着色剤などに使用されています。 【分析方法】 水素化合物発生原子吸光法、水素化合物発生ICP発光分析法 |
| 硝酸性窒素及び 亜硝酸性窒素 |
【環境基準値】 10mg/L以下 【毒性】 高濃度の硝酸・亜硝酸性窒素を含む水の摂取によって、特に乳幼児が メトヘモグロビン血症を発症します。 【用途等】 電気めっきにおける洗浄剤・防錆剤、希土類精鉱の溶解剤、製品の触 媒、化学肥料などに使用されています。亜硝酸性窒素は、きわめて不 安定な物質で、硝酸性窒素やアンモニウム性窒素に速やかに変化しま す。 【分析方法】 硝酸性窒素:還元蒸留-インドフェノール青吸光、銅・カドミウムカラム還元 -ナフチルエチレンジアミン吸光、イオンクロマトグラフ法 亜硝酸性窒素:ナフチルエチレンジアミン吸光光度法、イオンクロマトグラフ法 |
| ふっ素 (F) |
【環境基準値】 0.8mg/L以下 【毒性】 高濃度のふっ素を含む水の摂取によって斑状歯が発生するほか、ふっ 素沈着症が生じます。 【用途等】 温泉水や海水中には比較的高濃度で存在し、虫歯予防、原料用(フロン 、ふっ素樹脂、殺鼠剤)や金属の研磨やステンレスの洗浄目的で用いら れます。鉄鋼業等で原料として使用するホタル石にふっ素が含まれま す。海水中では自然状態で環境基準値を上回っているため、海域には 環境基準が適用されません。また、海水の影響がある河川や湖沼の 環境基準点も評価から除外されます。 【分析方法】 ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法、イオンクロマトグラフ法 |
| ほう素 (B) |
【環境基準値】 1mg/L以下 【毒性】 毒性は弱いが、高濃度のほう素を含む水の摂取によって嘔吐、腹痛、 下痢及び吐き気等が生じます。また、農業用水として穀物の発育阻害 などが起こります。 【用途等】 ほう素は自然界でほう砂などとして広く存在し、温泉水や海水中には比 較的高濃度で存在します。電気めっき工程の緩衝剤・めっき液、釉薬等 製造工程、ガラスや医薬品などで使用されています。また、石炭中にも ほう素が含まれています。 ふっ素と同様に、海水中では自然状態で環境基準値を上回っているた め、海域には環境基準が適用されません。また、海水の影響がある河 川・湖沼にある環境基準点も評価から除外されます。 【分析方法】 メチレンブルー吸光光度法、ICP発光分析法、ICP-MS |
1,4-ジオキサン![]() |
【環境基準値】 0.05mg/L以下 【毒性】 動物実験では、肝臓・腎臓への影響、白血球の減少や赤血球の 増加が認められています。発がんの可能性も指摘されています。 【用途等】 常温で無色透明の液体で、揮発性の物質です。水にも油にも溶けやすい 性質から、広く溶剤として使われています。有機化合物を製造する際の反 応溶剤として使われるほか、トランジスター、塩素系溶剤の安定剤、洗浄 溶剤、合成皮革や塗料などの溶剤として使われています。 【分析方法】 活性炭抽出GC-MS |
塩化ビニルモノマー![]() |
【環境基準値】 0.002mg/L以下 (地下水) 【毒性】 急性毒性としては、錯乱、頭痛、めまいが報告されています。発がん性 物質です。 【用途等】 低分子有機塩素化合物で、無色透明、芳香性の気体です。引火性があり ます。ほぼ全量が塩化ビニル樹脂などの合成樹脂の原料として使われて います。 【分析方法】 パージ・トラップGC-MS |
■ 生活環境項目
生活環境項目は河川、湖沼、海域の3つに分類されており、各水域の利用目的(水道、水産、工業用水、農業用水、水浴など)に応じて、環境大臣または都道府県知事が「水域類型」指定を行い、各水域ごとにその類型に対応した基準値が項目ごとに設定されています。
・湖沼の定義は、天然湖沼及び貯水量1,000万立方メートル以上の人工湖が対象で、大阪府では該当ありません。
・湖沼における全窒素及び全りんの類型指定条件は、滞留時間4日間以内、塩素イオン含有量9,000mg/L以内、特殊なダム操作のないことです。
| 項 目 名 | 内 容 等 |
| 水素イオン濃度 (pH) |
■水素イオン濃度は、酸性やアルカリ性の程度を示す指標です。 【対象】 河川、湖沼、海域 水溶液中の水素イオン濃度[H+]の逆数の常用対数をpHとして示すもので、pH7は中性、7より大きい数値はアルカリ性、小さい数値は酸性を示します。 水の水素イオン濃度は、水中の生物化学的変化の制約因子であり、例えば農作物の低pHによる生育不良などがあります。 河川における水素イオン濃度の変化の要因としては、工場排水等の混入や、日中に植物プランクトンの光合成(炭酸同化作用)が盛んになることによるpHの上昇などがあります。 【分析方法】 ガラス電極法 |
| 生物化学的 酸素要求量 (Biochemical Oxygen Demand、BOD) |
■BODとは、水中の微生物が汚濁物等を酸化分解する際に必要とする酸素量で、有機物による水質汚濁の指標として使われます。 【対象】 河川 BODは20℃、5日間で消費された溶存酸素量(DO)で表し、河川の汚濁評価は主にBODで行っています。河川は海への流下時間が短いため、汚濁物の全量ではなく短時間で生物酸化される有機物だけを対象としています。 BODが考案されたイギリスの海への最大流達時間から5日間が採用されました。BODは、自然浄化能力の推定や生物処理の可能性等に役立ちますが、一部の有機化合物には測定されないものがあります。これは生物的に分解されにくいが化学的には分解される有機物も多く、逆に生物的に酸化分解される無機物も存在するので、BODとCODの内容は必ずしも一致するものではありません。 また、生物処理等が進んだ試料では、炭素系有機物を分解する好気性細菌の酸化分解に消費される酸素量(C-BOD)のほかに、窒素化合物を酸化する硝化細菌の硝化により消費される酸素量(N-BOD)が測定されることがあります。 |
| 化学的酸素要求量 (Chemical Oxygen Demand、 COD) |
■CODとは、試料に酸化剤を加えて一定の条件下(100℃、30分間)で反応させ、そのとき消費した酸化剤の量を酸素の量に換算したものです。 有機物による水質汚濁の指標として使われます。 【対象】 湖沼、海域 CODは、水質汚濁を示す代表的な指標で、湖沼や海域の汚濁評価は主にCODで行います。これは、湖沼や海域ではその水域への水の滞留時間が長いので、長期的に分解される有機物まで考慮する必要があるということからです。また、湖沼などの滞留時間が長い水域には植物性プランクトンや藻類などの光合成生物が多量に存在し、十分な日照があると光合成により酸素が発生してしまい、消費された酸素量が正確に把握できないためです。 水の有機物汚染が進むにつれて、COD値は大きくなります。BODに比べ短時間で結果がでますが、有機物のみでなく、第一鉄や亜硝酸塩などの無機物も酸化します。 日本では酸化力の弱い過マンガン酸カリウムを酸化剤に使用しますが、欧米では酸化力の強い二クロム酸カリウムを適用しています。 【分析方法】 100℃、KMnO4による酸素消費量 |
| 浮遊物質量 (Suspended Solid、SS) |
■浮遊物質量とは、水中に懸濁している不溶解性の粒子状物質量で、濁りなどの水質汚濁の指標です。 【対象】 河川、海域 水中に浮遊する直径1μm以下の粒子量を単位あたりで示す指標で、粘土などの微粒子や動植物プランクトン、下水・工場排水などに由来する有機物や金属の沈殿などが含まれます。 浮遊物質は、一般的に清浄な河川水では粘士成分を主体に若干の有機物を含むものにより構成されることが多いが、汚染の進んだ河川水は、有機物の比率が高まり、SSの量が水の濁り、透明度などの外観に大きな影響を与えます。 水中の固形物を定量的に表すため、濁度や透視度などと異なり絶対的な値が得られますが、このSS値が必ずしも水の濁りの指標とはなりません。 SSが生態系に与える影響としては、魚類のえらを塞ぎ窒息させる危険性や、太陽光線の透過を妨げ、藻類の同化作用を阻害させる等があります。 【分析方法】 ろ過重量法 |
| 溶存酸素量 (Dissolved Oxygen、 DO) |
■DOとは、水中にとけ込んでいる酸素の量です。 【対象】 河川、湖沼、海域 溶存酸素は、河川や海域での自浄作用や魚類等の水棲生物には不可欠なもので、数値が小さいほど水質汚濁が進んでいることを示します。 水中における酸素の飽和量は気圧、水温、塩分等に影響され、水がきれいであるほどその温度における飽和量に近い量が含まれます(水温15度では約9mg/lで飽和状態)。逆に富栄養化した水域や人為的汚染の進んだ水域では、大量の有機物に分解が追いつかず、DOが低くなる現象がみられます。また塩化物イオンを含む水や水温の高い水ほどDOの値は小さくなります。 酸素が枯渇した還元状態になると、水の自浄作用が正常に働かず、有害金属をはじめとした様々な化学成分が水中に拡散したり、酸素呼吸を行う生物(好気性微生物)が死滅し生物相が大きく変化するなど、多くの問題が引き起こされます。 通常、河川のDOの値は、冬は高く、夏は低くなる傾向にありますが、夏期は水中の植物プランクトンの光合成が活発になりDOが高くなることがあります。 【分析方法】 隔膜電極法 |
| 大腸菌群数 | ■大腸菌群数とは、100mL中の大腸菌群数の最確数で表し、人などの排泄物による汚染の指標になります。 【対象】 河川、湖沼、海域 大腸菌及び大腸菌と極めてよく似た性質をもつ菌の総称で、便宜上、グラム染色陰性、無芽胞性桿菌で乳糖を分解して酸とガスを形成する好気性又は通性嫌気性菌をいいます。 大腸菌は人体排泄物中に大量に存在しますが、大腸菌の検出によって直にその水が危険であるとはいえません。大腸菌自体は無害ですが、消化器系伝染病は常に大腸菌と一緒に存在するため、大腸菌の検出は消化器系伝染病の存在を疑うことができます。大腸菌が病原菌の指標として都合が良いのは、大腸菌が消化器系伝染病より抵抗力が強く、検出が容易なためです。つまり、大腸菌の検出されない水には病原菌も存在しないと考えられます。 【分析方法】 MPN法 |
| 全窒素 (T-N) |
■全窒素は窒素化合物の総量で、富栄養化の要因となります。 ・有機態窒素(粒子性有機態窒素、溶解性有機態窒素) ・無機態窒素(アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、硝酸性窒素) 【対象】 湖沼、海域 窒素は、プランクトンなど動植物の増殖に欠かせないもので、りんとともに栄養塩と呼ばれ、湖沼や海域の富栄養化現象の要因物質とされています。 富栄養化は、海域の植物プランクトンの増殖による赤潮の発生や、湖沼でのアオコや淡水赤潮を招き、養殖漁業への被害や景観にも影響がみられます。また、植物プランクトンの増殖による内部生産のため、夏季を中心に底層が貧酸素化し、青潮を招くこともあります。 湖沼と同様に閉鎖性海域の富栄養化が問題になり、平成5年に海域における環境基準が設定されています。 【分析方法】 銅・カドミウムカラム還元-ナフチルジアミン吸光光度法 ペルオキソ二硫酸カリウム分解-紫外吸光光度法 |
| 全りん (T-P) |
■全りんはりん化合物の総量で、富栄養化の要因となります。 ・有機態りん(粒子性有機態りん、溶解性有機態りん) ・無機態りん(オルトリン酸性りん、重合りん酸) 【対象】 湖沼、海域 りんは、窒素とともに栄養塩と呼ばれ、湖沼や海域の富栄養化現象の要因物質とされています。汚濁源としては、生活排水、畜産排水、工業排水等広い範囲から排出されています。また従来、大きな汚濁源とされていた衣料用や食器用の洗剤中に含まれるりんについては、無りん化が進んでいます。 【分析方法】 ペルオキソ二硫酸カリウム分解-モリブデン青吸光光度法 |
| ノルマルヘキサン抽出物質 (油分、n-Hex) |
■ノルマルヘキサン抽出物質とは、ノルマルヘキサンに可溶性の油分等をいいます。 【対象】 海域 石油系油分による異臭魚の発生を防止するため、海域における油濁が問題となり、石油系油分を中心とする水質規制が行われてきました。 ノルマルヘキサンで抽出される物質は、動植油脂、鉱物油、脂肪酸類、エステル類、アミン類、フェノール類のほか、界面活性剤や染料なども抽出されます。 【分析方法】 重量法 |
| 全亜鉛 (T-Zn) |
■全亜鉛は亜鉛化合物の総量で、水生生物の保全に係る基準項目です。 【対象】 河川、湖沼、海域 亜鉛は従来から工場・事業場に対して排水規制が行われてきましたが、水生生物の保護を目的に、平成15年11月に環境基準項目として設定されました。 亜鉛の主な排出源は、亜鉛鋼板、伸銅品、ダイカスト等を扱う工場・事業場排水の他、し尿や生活雑排水にも含まれております。 【分析方法】 溶媒抽出フレーム原子吸光法、電気加熱原子吸光法、ICP発光分析法、ICP-MS |